PCやタブレットでデジタルのイラストを作成できるソフトには、色々な種類が登場しました。
それぞれがイラストを描くうえで必要機能に加えて、違った特徴を持っているため人によって使いやすいイラスト作成ソフトは違います。
イラストを本格的に描きたい方、趣味で気軽に描きたい方、仕事としてイラストを描く方など目的は様々でしょう。
またイラストをPCで描くのか、タブレットで描くのか、それとも両方で使用するのかなど用途によっても選ぶソフトは変わります。
またイラスト作成ソフトの中には無料でも高性能なものもあり、使い勝手の良いソフトもあります。
本記事では2022年1月現在で人気の高いイラスト作成ソフトを紹介しますから、ぜひソフト選びの参考にしてください。
イラスト作成ソフトとは
イラスト作成ソフトはPCやタブレット、スマートフォンなどを使用して、デジタルでイラストを作成するソフトのことです。
無料で利用できるもの、有料購入のもの、毎月定額制のものなど様々なソフトが存在します。
有料のものも定額制のものも費用が大きくなるため、気軽に始めるなら無料のソフトを選ぶとよいでしょう。
無料ソフトならいつでも利用でき、イラスト作成ソフトの使い心地を確かめるにも丁度よいからです。
3Dデッサン用のモデル人形が搭載されたもの、複数のレイヤーを重ねることができるものなど機能性の高いものがあります。
自分の使いやすいイラスト作成ソフトを見つけることが、イラストを描き続けるうえで重要になります。
イラスト作成ソフトを利用するメリット
イラスト作成ソフトには多くのメリットがあるため解説します。
- イラストの表現に幅が出せる
- 修正が簡単に行える
- PC・タブレット・スマホで自由に描ける
- 企業からの依頼を受けやすい
イラストの表現に幅が出せる
イラスト作成ソフトの大きなメリットの1つとして、イラストの表現に幅を出しやすい点があります。
機能性が多いため、水彩画風、油絵風など様々なタッチでイラストを表現できます。
ソフトによって枚数は異なりますが、レイヤーと呼ばれる層を重ねることも可能です。
レイヤーを重ねることで、レイヤーごとにキャラクター、背景、小物などを描き分けができ、作業効率が飛躍的に上がります。
また、イラスト作成ソフトによってはイラスト、マンガ、アニメ、デザインなど色々な用途に利用でき、利用する人に合わせて使用できる点もメリットです。
イラスト作成ソフトは使いこなせれば表現の幅がぐっと広がりますから、ぜひ操作方法覚えてみてください。
修正が簡単に行える
修正がしやすい点もイラスト作成ソフトならではのメリットです。
手描きの場合は下書きなら消しゴムで出来ますが、絵の具を利用していれば修正も大変です。
デジタルで作成するイラストなら「アンドゥ機能」も用意されており、簡単に修正ができます。
アンドゥ機能とはイラストを「一つ前の状態に戻す」機能で、誤操作や描き間違いをワンクリックで元の状態に戻せます。
また、デジタルのイラストはデータとして保存もできるため、保管場所にも困りません。
画材やインクなどの費用面でもコストがカットできるため、修正を自由にできる点は大きなメリットです。
PC・タブレット・スマホで自由に描ける
イラスト作成ソフトはすべてではありませんが、多くがPCとタブレットなど複数のデバイスで使用できるようになっています。
自宅では時間をとって作業を行い、すき間時間はタブレットを利用してイラストを作成する、という分担が可能です。
外出先でもイラスト作成ができるようになるため、作業効率が大幅に上がることでしょう。
イラスト作成ソフトによってはクラウドで共有するタイプ、他のイラスト作成ソフトとの互換性を持たせたタイプもあるので、利用する状況に応じて使い分けてみてください。
企業からの依頼を受けやすい
イラスト作成ソフトを利用していれば、企業からのイラスト作成依頼を受けやすくなる点もメリットです。
企業の広告やデザインをイラストで提供する際、手描きのイラストを提供する機会は少なくなりました。
クライアントの多くは作成したイラストをデータ形式で受け取ることが多く、イラストを提供するイラストレーターもそれに対応しなければなりません。
イラストレーターとして仕事をするなら、イラスト作成ソフトの操作にも精通しておくことが大事です。
クライアントとしてもデジタルデータとして納品できるイラストレーターの方が、仕事を依頼しやすいと考えています。
イラストレーターとして働くなら、イラスト作成ソフトを扱えるようになれば強みになるでしょう。
イラスト作成ソフトを選ぶポイント
イラスト作成ソフトを選ぶポイントを4つ紹介します。
- イラスト作成ソフトの対応OSを確認する
- イラストを作成する目的で選ぶ
- クラウドで共有できるか
- 無料か有料か確認する
イラスト作成ソフトの対応OSを確認する
イラスト作成ソフトにはそれぞれ対応するOS、スペックがあるため、自分の持っているデバイスに対応しているソフトか確認する必要があります。
PCで利用する場合には、WindowsとMacのどちらに対応しているかチェックしてください。
また、WindowsではOSのバージョンが定期的に更新されているため、ソフトによっては対応していないこともあります。
あまりに古いバージョンを利用していると、上手く動作しないこともあるため注意が必要です。
メモリ不足でも上手く動作しないことがあるため、利用を始める前にスペックを確認しましょう。
また、Macの場合は無料ソフトの中には対応していないものもあるため、ダウンロードする前にOSが適切かチェックしてください。
イラスト作成はPCで行うことが主流ですが、PCだけでなくタブレットのOSにも対応しているかどうかは忘れず見ておいてください。
イラストを作成する目的で選ぶ
本気でイラストを描きたい人、趣味で楽しみたい人、仕事としてイラストを描く人など作成の目的は様々です。
絵を描く目的に応じて、イラスト作成ソフトも吟味する必要があります。
イラスト作成ソフトによってペン先、ブラシの種類、筆圧感知機能など機能面は千差万別です。
精細なイラストを描きたいならレイヤーの機能が豊富なもの、線の強弱を出したいなら筆圧感知機能のあるものなど、個性のあるイラストを描くためにも必要なポイントです。
イラストを作成する目的によって、選ぶべきソフトはそれぞれ異なるため、色々なソフトをチェックして自分に合ったソフトを見つけてみましょう。
クラウドで共有できるか
イラスト作成ソフトの便利な機能の1つに、クラウドでの共有機能があります。
作成したイラストのデータをクラウドに共有することで、自宅だけでなく外出先でも自由にイラストを描けます。
クラウドで共有することができれば、異なるデバイスでもイラストを描けるようになり、仕事効率が大幅にアップするでしょう。
また、デバイスに応じた使い分けも可能となり、タブレットで下絵、PCで仕上げという具合に状況に応じ使い分けてください。
出来ることが大きく増えるため、クラウド共有が可能なイラスト作成ソフトを選ぶこともポイントです。
無料か有料か確認する
イラスト作成ソフトには無料版と有料版、月額版など色々なタイプがあります。
使用目的に応じて選択したほうがよく、気軽に始めるなら無料版、機能性も重視してしっかり描きたいなら有料版を選ぶのがおすすめです。
初心者のうちは有料版を使用しても機能を使いこなせず、結果的に挫折してしまう可能性もあります。
一方、実力がついてくると無料版では機能的に物足りなさを感じることもあり、有料版に切り替えたくなるタイミングが来ることでしょう。
最近は無料ソフトでも機能性が増しており、初心者~中級者でも使えるようになっています。
反面、無料ソフトはユーザーサポートが整備されていないことも多く、トラブルは自分で調べて対処する必要があります。
有料ソフトではカスタマーサポートを整えられていることが多いため、トラブルが不安なら有料版を利用することも選択の1つです。
どちらもメリット・デメリットのバランスを考えて、無料ソフトか有料ソフトか選択してください。
おすすめのイラスト作成ソフト10選
無料版、有料版も含めてイラストを描く人におすすめのイラスト作成ソフトを紹介します。
- CLIP STUDIO PAINT PRO
- CLIP STUDIO PAINT EX
- MediBang Paint Pro
- 水彩画ソフト入門
- FireAlpaca
- Pixia
- Inkscape
- ペイントツールSAI
- Krita
- PhotoshopCC
CLIP STUDIO PAINT PRO
世界的にも人気が高く、初心者からプロまで幅広く人気があります。
機能が非常に豊富で、初心者のうちは使いこなすのに努力が必要ですが、扱えるようになればいつまでも使える頼れるイラスト作成ソフトです。
PROはイラスト作成する方をメインターゲットにしたソフトで、ペンやブラシの自由度が高い点も特徴です。
3Dデッサン人形が機能に搭載されており、イラスト作成の助けになります。
そして最大の特徴は、PCでもタブレット・スマホ等のデバイスでも機能性がほぼ同じということです。
どのような場面でもイラスト作成ができる強みがあるため、多くのユーザーに親しまれています。
- 対応OS:Windows/MacOS/iPad/iPhone/Android
- 料金:無料体験あり(最大6か月)/有料版5,000円/月額版480円
CLIP STUDIO PAINT EX
CLIP STUDIO PAINT EXは、PROよりもマンガやアニメなど幅広く利用したい方向けの上位互換ソフトです。
機能性はPROの完全上位互換であるため、PROで出来ることはEXでも出来るようになっています。
EXではコマ割りやスクリーントーン、原稿の一括管理機能も搭載しているだけでなく、線画とトーンを別々に処理することも可能です。
イラスト作成だけでなく、マンガやアニメーションまで活躍の幅を広げるなら最高クラスのソフトです。
ソフトを提供している「セルシス」の公式サイトでは、PROを買った後にEXへとアップグレードできるようになっています。
初めてイラスト作成ソフトを購入する方なら、最初はPROで操作感に慣れるまで使い込み、その後EXに切り替える方法がおすすめです。
- 対応OS:Windows/MacOS/iPad/iPhone/Android
- 料金:無料体験あり(最大6か月)/有料版23,000円/月額版980円
MediBang Paint Pro
MediBang Paint Proは「MediBang Paint」シリーズのPC対応版で、無料とは思えないほど多機能な点が特徴です。
本格的にデジタルでイラストやマンガを始めるなら、MediBang Paint Proなら機能面でもサポート面でもおすすめです。
1000種類を超えるトーン・ブラシ・日本語フォントが実装されており、すべてクラウドからいつでもダウンロードできます。
クラウドを利用した保存機能もあるため、色々なデバイスで作業を進められ、好きなタイミングでイラストを描くことができます。
無料で利用できるソフトですが、イラスト・マンガ両方の作成に利用できるため、CLIP STUDIO PAINTにも引けを取らない人気のソフトです。
- 対応OS:Windows/MacOS/iPad/iPhone/Android
- 料金:無料(広告表示あり)
水彩画ソフト入門
水彩画独特の絵の具の広がり、かすれなどの表現をデジタルで再現するイラスト作成ソフトです。
通常の水彩画と同じように、画面上にキャンパスとパレットがあり、色の混ぜ合わせ方や水の量によってタッチを変えることができます。
他のソフトとの違いとして、時間を進めて絵の具を乾燥させる機能、重ね塗りの機能などもあり、本物の水彩画に近い感覚で描き上げることができます。
アニメやマンガタッチのイラスト作成ソフトとは違いますが、水彩画を自分でも描いてみたい方には価格もリーズナブルでおすすめです。
対応OS:Windows XP/Vista/7/8/8.1/10
料金:2,800円
FireAlpaca
FireAlpacaは10種類の言語にも対応した無料のイラスト作成ソフトです。
PCでのみ利用可能ですが、「ずっと無料」を売りにしており、対応OSも多い点が特徴です。
スペックが低いパソコンでも利用できるように日々アップデートしています。
初期状態ではペン・鉛筆・エアブラシ・水彩の4種類の筆が選択でき、カスタマイズもできる自由度の高さも良い点です。
また、マンガ原稿のテンプレート、集中線が簡単に作れるパースに、3Dパース機能も搭載しており、初心者からプロまで利用しやすいソフトです。
- 対応OS:Windows(Vista以降)/MacOS(10.7以降)
- 料金:無料(広告表示あり)
Pixia
1998年から提供が続いているフリーのイラスト作成ソフトです。
古くから提供しているだけあり、Windowsのペイントに近いインターフェースをしています。
機能は14種類のペン、レイヤー・マスク機能、色彩調整など、イラスト作成の基本的な機能は揃えています。
シンプルゆえにイラスト初心者にとっては使いやすく、絵の練習をしたい方にもおすすめのソフトです。
注意したいのは対応OSがWindowsに限られる点です。
MacOSを利用している方は正常に動作しないため、注意してください。
- 対応OS:Windows
- 料金:無料
Inkscape
無料版のIllustratorと呼ばれるほど、多機能なイラスト・グラフィック作成ソフトです。
初心者にも使いやすいシンプルなインターフェースをしているため、操作に慣れたい方にもおすすめです。
デジカメなどの画像データを取り込んで、線の形を変えられるベジェ曲線を利用したイラストも作成できます。
海外製の無料ソフトですが、日本語にも対応しています。
そのため、日本語でのポスター作製や広告の紙面作成にも利用でき、非常に便利なソフトと言えるでしょう。
「Illustratorはお金がかかるから使いにくい」とお考えの方は、Inkscapeを利用してみるのがおすすめです。
- 対応OS:Windows(XP以降)/MacOS X(10以降)/Linux
- 料金:無料
ペイントツールSAI
気軽にイラストを描きたい方におすすめなのが、「ペイントツールSAI」です。
手軽かつ快適に描くことを追求しており、滑らかな線を描けるペイントソフトです。
2008年に発売されてから、気持ちの良い描き心地で今でもイラストを描く方には人気があります。
ネット上ではSAIを使ったお絵かき講座やノウハウが蓄積されており、イラスト作成ソフトの入門者にもおすすめのソフトです。
ただし対応OSはWindowsのみなことに加え、最近はバージョンアップなどはされておらず、機能面では他の有料ソフトに見劣りしています。
- 対応OS:Windows(2000以降、10でも動作可)
- 料金:5,500円
Krita
無料のオープンソースソフトウェアながら、手振れ補正機能、9種類のブラシエンジン、ポップアップパレットを装備した機能性に優れたソフトです。
特徴的なのは、オープンソースでユーザーが作成したアイテムを導入できる点です。
レイヤーも無制限に重ねることができ、無料ソフトながら拡張性に優れています。
アニメーション作成機能も実装しているだけでなく、音声を読み込んで同時に再生することもできます。
公式サイトにはチュートリアルやマニュアルも整備されており、無料とは思えない手厚いサポートも魅力です。
イラストと簡単なアニメーションを作成するなら、無料で利用できるKRITAもおすすめのソフトです。
- 対応OS:Windows/MacOS/Linux/Steam
- 料金:無料/Steam版1,500円/Microsoftストア版1,750円
PhotoshopCC
写真加工・編集ソフトとしても知られるPhotoshopですが、イラストにも利用できます。
水彩画風や油絵風のタッチでイラストを作成できるため、お気に入りの画像を加工してイラストにすることが可能です。
クラウド機能も有しており、タブレットやスマホで写真を撮り、アプリで加工することもできます。
アプリで加工した画像は、クラウドから共有してPCで細かい仕上げもできます。
ただし、PhotoshopCCはイラスト作成がおまけの機能ですから、本格的にイラストを始める方は別のソフトを選びましょう。
- 対応OS:Windows/MacOS
- 料金:有料版26,160円/月額版1,848円
まとめ
イラスト作成ソフトのメリット、選ぶポイント、おすすめのソフトについて紹介してきました。
現代では手描きのイラストよりも、デジタルイラストが主流となっており、イラスト作成ソフトを扱えることがすべてのスタートラインです。
目的によってソフト選びのポイントは変わり、気軽に描きたい方は無料ソフト、イラストを仕事にしたい方は有料ソフトを選ぶ方がよいでしょう。
とはいえ、操作に慣れなければ使いこなせないような、機能性の多いソフトも出ています。
自分の目的、実力、予算に合わせて、その時々で最適なイラスト作成ソフトを選んでください。
今回紹介したイラスト作成ソフトは、どれもこれからデジタルイラストにチャレンジするならおすすめのものばかりです。
無料ソフトも多いですから、まずは使用感を確かめて使い続けられるものを選択してみてください。