Webデザイナーとして働いていくうえで、大事なことが単価の設定です。
フリーランスで働くWebデザイナーは会社員のように給料ではなく、仕事に応じた単価がそのまま自分の報酬となるため単価設定は大変重要です。
しかし、単価設定で多くのWebデザイナーは次のような悩みを持つことでしょう。
- 顧客は欲しいけどあまり安い単価にしたくない…
- 自分のスキルではどのくらいが単価の相場かわからない…
- 他のWebデザイナーはどのくらいの単価で依頼を受けているのだろう…
このような悩みを解決するためには、フリーランスで働くWebデザイナーの報酬の目安、作成したページの単価相場、必要なスキルなどを知ることが必要です。
この記事ではWebデザイナーに依頼する際の単価相場を紹介し、報酬設定や案件の獲得方法も解説していきます。
フリーランスでWebデザイナーとして独立したいとお考えの人は、ぜひ本記事を参考に依頼の報酬設定を検討してみてください。
フリーランスで案件を獲得する方法
フリーランスとして独立した場合、まずは案件を獲得して仕事をこなして信頼と実績を重ねていくことが大事です。
Webデザイナーが案件を獲得するためには、次の方法があります。
- クラウドソーシング
- ブログやSNSなどのソーシャルメディア
- 企業への営業
それぞれメリット、デメリットが異なるので、それぞれ解説していきます。
クラウドソーシング
有名なクラウドソーシングには、クラウドワークスやランサーズ、レバテックがあるので、まずは登録して自分のスキルに見合う案件がないか探してみましょう。
クラウドソーシングのサイトは常に何かしらの案件が募集されており、その中に希望する案件も見つかることが多いです。
またクラウドソーシングの仕事の受注方法は1つではなく、スキルの出品やコンペへの参加、案件への提案など様々なので、色々な方法を試してみてください。
クラウドソーシングのメリット
実績がまだできていないうちは、クラウドソーシングで案件を積み重ねていきましょう。
クラウドソーシングには次のメリットがあります。
- 何らかの案件が出ていることが多いので、仕事に困ることは少ない
- 他のクラウドソーシング案件に比べて単価が比較的高い
- 報酬の支払いが遅れる心配が少ない
有名なクラウドソーシングサイトでは登録者が50万人を超えているため、企業側も案件を提示すれば人が集まると期待しているため、案件探しに困ることは少ないメリットがあります。
またWebデザインの案件はコンペや固定報酬、時間報酬など支払い形式は様々ですが、クラウドソーシングサイトの中では単価が比較的高いのも特徴です。
クラウドソーシングは企業との直接契約ではなく、クラウドソーシングサイトが仲介役として間に入るため報酬の遅れが出にくいことが大きなメリットです。
クラウドソーシングのデメリット
案件が集まりやすいクラウドソーシングですが、Webデザイナーとして働いていくうえではデメリットもあります。
- 案件に必ずしも採用されるとは限らない
- 手数料が発生する
- 直接契約に比べて単価が安い
クラウドソーシングでは毎日のように案件が募集されますが、報酬の良い案件にはそれだけ多くの応募も集まります。
そのため応募しても必ず採用されるとは限らず、人によっては10回応募して1・2回採用されれば良い方ということもあります。
採用されて報酬の支払いがあっても、手数料が取られるというデメリットも忘れてはいけません。
クラウドソーシングサイトにもよりますが、おおよそ報酬の10~20%は手数料として差し引かれます。
つまり、10万円の案件があっても1万~2万円は手数料として取られてしまうのです。
そして、そもそも単価が低めという点にも注意です。
クラウドソーシングサイトにはこうしたデメリットがあることも理解し、上手く活用してください。
ブログやSNSなどのソーシャルメディア
最近ではブログやSNS等のソーシャルメディアを利用する方法でも仕事を獲得できます。
特にWebデザイナーは作ったサイトやデザインを人に見てもらう必要性が高いので、ブログとSNSを連携してポートフォリオとして発信する人も多いです。
情報発信とともに、デザイナーの募集をSNS上で行っているクライアントもいるので、そちらを探すこともおすすめです。
ブログ・SNSのメリット
ブログやSNSでは不特定多数の人に自分を知ってもらう機会となり、そこから仕事に繋がるケースもあります。
ブログ・SNSを利用するメリットは次のとおりです。
- ポートフォリオを掲載できるので、クライアントからの信頼を得やすい
- 情報発信することでWebデザイナーを求めるクライアントの目に留まりやすい
- Webデザイナーを募集しているクライアントに営業をかけることができる
Webデザイナーはフリーランスでも事務所所属でも、自分のサイトで作品を掲載してポートフォリオにしているケースが多いです。
ポートフォリオを掲載してあればクライアントからどのようなサイトを作れるデザイナーか把握でき、イメージのすり合わせも進みやすくなります。
ブログやSNSではWebデザイナー自身も情報発信できるので、クラウドソーシングや求人サイトに比べるとクライアント側からも見つけやすい傾向があります。
逆にWebデザイナーを募集しているクライアントを探すこともでき、仕事に直結しなくても色々なクライアントと繋がるきっかけになるでしょう。
ブログ・SNSのデメリット
一方でブログ・SNSには仕事に関して、大きなデメリットもある点は理解しておく必要があります。
ブログ・SNSのデメリットは次のとおりです。
- 必ず仕事に繋がるとは限らない
- クライアントとの連絡が突然取れなくなるリスクがある
- 報酬の支払いを渋るクライアントがいる
ブログやSNSは求人がメインの役割ではなく、人との繋がりの場であるため、情報発信したからといって絶対に仕事に繋がる保証はありません。
クライアントとの契約に繋がってからも注意が必要で、悪質なクライアントでは仕事の途中で連絡が取れなくなることや、デザインのデータだけもらって逃げてしまう可能性もあるのです。
クラウドソーシングや求人サイトと違い、直接契約の形になることから報酬の支払いを渋るクライアントも存在します。
ブログ・SNSを利用した仕事の契約では、しっかりとした契約書の締結と信頼できるパートナーになるか判断する力が必要です。
企業への営業
行動力あるWebデザイナーの場合は、直接企業に売り込みをかけることも方法の1つです。
求人も出していない企業に営業しても断られるだけ、と考えるかもしれませんが、意外とそうでもありません。
というのもベンチャー企業や家族経営の少人数企業の場合、求人を出すコストをかけたくないと考えていることもあるからです。
もちろん事前に売り込みに向けての準備やアプローチの仕方も大事です。
また会社員時代に繋がりのある企業に声を掛け、独立したので案件が欲しいと訴えるのも効果的です。
企業への営業のメリット
企業営業は大手企業だけでなく、中小企業まで幅広く営業をかけられるのでメリットも大きい方法です。
企業への営業のメリットは次のとおりです。
- これまでWebデザインを依頼してこなかった新規顧客を開拓できる
- 中小企業や地元企業で専属のWebデザイナーとして活躍できる
- 自分の作ったデザインで企業の売上に貢献すれば、より大きな案件に繋がる可能性がある
企業への営業では大小様々な企業に営業をかけることとなり、Webデザインを戦略にしてこなかった企業を新規顧客として獲得できるチャンスでもあります。
気に入ってもらえれば継続で受注が入ることもあるだけでなく、企業専属のWebデザイナーとして優先して案件を回してもらうことも考えられます。
また自分の作成したWebサイトで企業の売上が向上すれば、モチベーションに繋がるだけでなく、より大きなプロジェクトの依頼が舞い込むこともあるでしょう。
企業への営業には自分が企業とともに成長する喜びと、より大きな収入につながる可能性が秘められています。
企業への営業のデメリット
企業への営業には大きな可能性とともに、注意しておきたいデメリットもあることを知っておきましょう。
企業へ営業をかけるうえで知っておきたいデメリットは次のとおりです。
- 売り込みには綿密な準備と契約後のアフターケアも必要
- 営業を100件以上かけて採用されることもある
- Webデザイナーとして足元を見られてしまうことがある
企業へ売り込みをかけるなら自分のデザインを紹介するだけでなく、売り込みをかける企業について少しでも知っておかなければなりません。
企業を知らずに営業をかけても、企業にとってそのWebデザイナーに依頼するメリットがわからないからです。
もちろん売り込みの上手さにもよりますが、会社員時代の繋がりや地元の商工会議所なども利用して、地道に営業をかけましょう。
そして独立して間もないWebデザイナーの場合、仕事が欲しいだろうと思われて、安く値切ろうとする企業も存在します。
せっかく入った仕事が相場の半額では、時間をかけて作っても儲けには繋がりません。
時には毅然とした態度で営業に臨む姿勢も大切です。
Webデザイナーの単価相場は作成ページによる
Webデザイナーの収入はWebサイトの場合の、作成したページやページ数によって大きく異なります。
一般にサイトのトップページや企業のロゴデザインは単価が高く設定されますが、それ以外のページはやや低めが相場とされています。
この項ではWebサイト作成の際、各ページの相場はいくらになることが多いのか紹介するので、金額設定で迷っている人は参考にしてください。
各ページの単価相場は次のようになっています。
- 企業のロゴ:3万~15万円
- トップページ:5万~13万円
- 下層ページ:2万~7万円
- 派生ページ:1万~3万5千円
- バナー作成:5千~5万円
- スマートフォン用のトップページ:4万~10万円
上記はあくまで単体で制作する場合の相場なので、この相場表から作成するページ、ページ数に応じて料金を決定していきます。
ページ数の多いサイト、構造が複雑なECサイトなどはその分単価も高くなり、大企業やECサイトの制作では数百万円という報酬になることもあります。
またWebデザイン制作会社や事務所では複数人で作業にあたることから、単価は高めに設定される傾向があるようです。
そのため、フリーランスとして案件を獲得するなら、制作会社やデザイン事務所よりも単価を安めに設定しましょう。
参考としてフリーランスでの単価相場も紹介します。
- トップページ:2万円~
- 下層ページ:5千円~
- 派生ページ:1万円~
- アイコン・バナー作成:3千円~
- ロゴ制作:1万円~
単価相場を参考にして自分なりにページ作成の単価表を作成し、クライアントからもわかりやすい料金設定を心掛けてください。
依頼によっては過去に作成したものを少し変更して利用できるケースもあるので、その場合は単価を休めにするなど柔軟に対応しましょう。
Webデザイナーの単価は相場こそあるものの、明確な基準が定められているわけではありません。
自分のスキルや経験年数から妥当な単価を計算して提示することが大事です。
フリーランスで案件を受ける際の注意点
フリーランスのWebデザイナーとして独立したからには、「とにかく仕事がほしい!」と考える人も多いでしょう。
とはいえ、「収入もほしいから安い案件は受けたくない」と考えることも理解できます。
ですが仕事を続けて、クライアントからの信頼があってこそフリーランスのWebデザイナーは活躍できるのです。
そこでフリーランスが案件を受注するためには、以下の心構えが必要なことを覚えておきましょう。
- 依頼された仕事は誠実に対応する姿勢をもつ
- 自分のスキルで対応できる業務範囲を確認する
- スケジュール管理をしっかり行う
- コミュニケーションを取りやすくする
依頼された仕事は誠実に対応する姿勢をもつ
依頼される案件は単価の高いものから、長期短期など様々なものがあるはずです。
そこでクライアントや単価の大きさによって、仕事への取り組みを差別しないようにしましょう。
例えば、「この仕事は単価が安いから少し手を抜いてもいいや」「大きい案件が入ったから、細かい案件は少し遅れてもいいだろう」といった態度は、クライアントからの信頼を失います。
フリーランスの場合は、クライアントから信頼されないと続けていくことは非常に難しくなります。
どのような依頼であっても、一つひとつを誠実にこなしていく姿勢が信頼に繋がる意識を大事にしてください。
自分のスキルで対応できる業務範囲を確認する
Webデザインと言っても、対応できる範囲はWebデザイナーによって様々で、素材選びやコーディングなど持っているスキルで異なります。
クライアントからすればそうした区別はつきにくく、「Webデザイナーに任せれば大丈夫だろう」という意識でいることも多々あります。
そのため仕事をしていくうえで自分にどのようなスキルがあり、業務として対応できる範囲はどこまでなのか、あらかじめクライアントとも確認しましょう。
スケジュール管理をしっかり行う
フリーランスとして活躍するためにはスケジュール管理も重要です。
クライアントにもよりますが、納期はその日までに納品してもらえなければ厳しい期限なので、クライアントの納期を意識した自分のスケジュール管理が必要です。
多くの場合、クライアントは納期を一番にしており、納期ギリギリの納品は内心で嫌がられることもあります。
クオリティを何よりも重視するクライアントなら納期ギリギリでも多めに見てくれるかもしれませんが、できるだけ余裕を持って提出するほうが良いでしょう。
そのためには、自分のスケジュールを管理して十分に実力を発揮しつつ、納期も守れる日程を調整するよう心掛けてください。
コミュニケーションを取りやすくする
クライアントにとってWebデザイナーの進捗状況は気になるポイントになります。
デザインが進んでいても、どこまで進んでいるのか、どのくらい工程があるのかなどの密なコミュニケーションは大事です。
Webデザイナーにとっても、クライアントがコミュニケーションを取りやすい相手なら、今後も仕事をしやすいと感じるはずです。
Webデザイナーとのコミュニケーションは、クライアントとのイメージのすり合わせにも関わります。
お互いの信頼関係を構築するためにも、コミュニケーションはこまめに取りましょう。
より単価を上げるためのスキル
Webデザイナーとして活躍するためにはデザインに関する知識だけでなく、扱えると便利なスキルもあります。
業務範囲を広げることにも繋がり、単価を上げることができるので参考にしてみてください。
- PhotoshopやIllustratorの操作スキル
- コーディングスキル、Dreamweaverスキル
- Webマーケティング
- マネジメントスキル
上記は持っておくと仕事の幅を広げ、クライアントからの信頼を得やすいスキルです。
まずPhotoshopとIllustratorはWebデザインに限らず、あらゆるデザインに活用できるソフトウェアなので、使いこなせれば強い武器になります。
ロゴデザインでも使うことが多いので、最新のアップデートには敏感になって情報を得るようにしましょう。
次にコーディングスキルやDreamweaverスキルは、Webデザイナーとして活躍するには切り離せない存在です。
比較的簡単なサイトはDreamweaverでも作れますが、より細かなサイト内の動作やデザインにはコーディングスキルが必須です。
コーディングスキルをもつWebデザイナーは他とは一線を画するので、単価を上げたい人は積極的にスキルを習得してください。
Webマーケティングスキルも現代のネット社会では重要なスキルです。
作成したサイトのアクセスを分析し、Web広告の効果を最大化するにはWebマーケティングの知識が生かせるので、デザインからマーケティングまで一貫して関わることができます。
最後にマネジメントスキルです。
自分のスケジュール管理ももちろんですが、プロジェクトとして複数人で関わるなら目標設定やスケジューリングなどで役に立ちます。
いずれのスキルもWebデザイナーとして、1ランク上を目指すなら狙って損のないスキルばかりです。
スキルを磨いて高単価の案件を受注しましょう。
まとめ
Webデザイナーの単価相場や案件の獲得方法を紹介しました。
Webデザイナーの平均年収は経験年数にもよりますが、400万円前後とされています。
中にはもっとたくさん稼いでいるWebデザイナーもいるため、努力した分だけ収入が上がる期待感も高い職業です。
本記事で紹介したデザインの相場は参考程度ですが、スキルを磨けば多くの収入にも繋がります。
案件を受ける際の注意点を守り、単価を上げるスキルを磨いていくことで、最前線で活躍できるWebデザイナーを目指してください。