イラストを依頼するならイラストレーターのイメージを持つ方も多いかと思います。
確かにイラストレーターに依頼することも多いですが、デザイナーにも依頼できることを知っているでしょうか。
依頼の方法は様々ですが、書籍や説明書の挿絵、サイトの画像などはデザイナーも担当しています。
そのため、デザイナーにもイラストを依頼することが可能なのです。
イラストを依頼する時、多くの方が気になるのは費用の問題です。
イラストを依頼した経験がないと、相場が把握できず、どのくらいの予算が必要なのか判断が難しいかもしれません。
そこで本記事ではデザイナーにイラストを依頼するとき、費用はどのくらい必要なのか、デザイン会社やフリーランスのメリットとデメリットなどそれぞれのケースに分けて紹介します。
本記事を読んで、イラスト制作依頼の費用設定の参考にしてください。
イラストの費用は何で決まるのか
イラストの費用を決定づけているのはどのような要素なのか見ていきます。
イラスト制作には明確な料金が決められているわけではなく、おおよその相場は「日本イラストレーター協会(JIA)」によって定められています。
料金を設定するにあたっては、日本イラストレーター協会ではA~Eランク、サイズ、そして使用方法から相場を算出しているようです。
ちなみにランクの分類は次のようになっています。
- Aランク:線画にベタ塗り、線なしベタ塗り等の構成などシンプルなイラスト
- Bランク:線画に多少立体感を付ける程度のAランクより少し手間のかかるイラスト
- Cランク:線なしの立体感のあるイラスト
- Dランク:写実的なタッチや、水彩画などの手描きイラスト
- Eランク:スーパーリアルや細密画など、とても手間のかかるイラスト
このように分類し、Aランクが最も安く、Eランクが最も高い価格設定を提示していました。
イラストもカットと呼ばれる10㎝角の小さなイラスト、文庫本などの表紙イラスト、広告用のイラストなど、サイズと用途に応じて費用は変動します。
イラスト費用の相場が気になる場合は、日本イラストレーター協会をチェックしてみてください。
また、フリーランスのデザイナーに依頼する場合、イラスト料金の算出方法には色々なものがあります。
- 原価から価格を決定する方法
- クライアントに合わせて価格を決定する方法
- 他のイラスト価格を参考にする方法
原価から決定する方法は、イラスト作成にかかる時間、ソフトの利用料金や必要経費、デザイナーの利益などを考慮して決定する方法です。
デザイナーによって能力には差があり、利用するソフトも異なるため、適正な価格かどうかはクライアントがしっかり判断する必要があります。
1時間当たりの時給で換算する場合もあるので、計算方法は様々です。
クライアントに合わせる方法は、個人依頼や企業依頼などクライアントはそれぞれ事情が異なります。
クライアントの予算、必要とするイラストの精密さなどの要素から価格を決定する方法です。
個人からの依頼の場合は安く請け負うケースも多いですが、企業からは高く料金設定していることもあるので注意が必要です。
契約前に料金の計算方法を確認し、依頼内容と比較して妥当な料金か検討しましょう。
最後に他のイラストを参考に価格を決定する方法です。
この方法が相場に最も近い価格になりやすく、クライアントとデザイナー双方に不満の出にくい方法でしょう。
サイズ、イラストの精密さ、利用用途等の要素から判断し、他の似た性質のイラストと近い価格を設定するので、大きく相場を外れることは少ないです。
ただし、注意したいのはイラストを買い叩くために不当に安く価格を設定してしまうことです。
デザイナーにとってはモチベーションに関わるだけでなく、企業の依頼であれば企業イメージにも悪影響が考えられます。
他のイラストと比較して、大きく外れない価格設定するよう心掛けてください。
イラストの料金相場
イラストを依頼するにあたっては、どのくらいの料金が相場とされるのか見ていきます。
日本イラストレーター協会の相場表からカット、表紙イラスト、広告イラストの価格相場を紹介します。
カットの価格相場
カットは雑誌、パンフレットに挿入されるイラストで、10㎝角以内のものを言います。
あくまで相場であるため、デザイナーの実力、知名度、個性等の要素で値段は変動しますが、次のような価格になっています。
イラストの条件・ランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク | Eランク |
人物イラスト1名、全身、背景なし | 5,000円 | 6,000円 | 7,000円 | 8,000円 | 15,000円 |
人物イラスト2名、全身、背景なし | 7,000円 | 8,000円 | 10,000円 | 15,000円 | 20,000円 |
人物イラスト3名、全身、背景なし | 9,000円~ | 10,000円~ | 12,000円~ | 20,000円~ | 25,000円~ |
書き込み背景付きの場合の追加料金 | 1,500円 | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 | 5,000円 |
カットイラストはサイズが小さく、シンプルなものが多いため、費用は安めです。
とはいえ、DランクやEランクのように精密で、時間も要するイラスト制作はA~Cランクに比べると価格は高くなります。
表紙イラストの価格相場
表紙イラストとはその名のとおり、雑誌、文庫、書籍はもちろん、パンフレットやカタログの表紙として使用されるイラストのことです。
価格は発行される部数によっても変化するため、人気の高い雑誌や書籍の場合は依頼の費用も高くなりやすいのが特徴です。
また、描き込みの内容によっても価格は変動するため、参考程度に見るのがよいでしょう。
イラストの使用方法・ランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク | Eランク |
雑誌・パンフレット・カタログ等 | 50,000円~ | 60,000円~ | 80,000円~ | 100,000円~ | 150,000円~ |
単行本・文庫等 | 30,000円~ | 40,000円~ | 50,000円~ | 70,000円~ | 90,000円~ |
カットに比べると全体的に値段設定は高めです。
表紙は宣伝効果にも繋がることから、カットよりも精密なイラストを求められます。
使用方法にもよりますが、表紙のイラスト制作なら3万円以上は必要と覚えておきましょう。
広告イラストの価格相場
企業イメージをユーザーに印象付けるため、宣伝の目的がある広告イラストにも価格相場はあります。
表紙イラストと違い、広告主の規模によっても価格が変動します。
こちらも描き込む内容次第で価格は変わるのでチェックしましょう。
イラストの使用方法・ランク | Aランク | Bランク | Cランク | Dランク | Eランク |
ポスター A3 | 30,000円~ | 40,000円~ | 60,000円~ | 80,000円~ | 100,000円~ |
POP A4 | 20,000円~ | 30,000円~ | 40,000円~ | 50,000円~ | 70,000円~ |
車内吊り A3 | 50,000円~ | 60,000円~ | 70,000円~ | 100,000円~ | 150,000円~ |
チラシ・パンフレット・カタログ等 A4 | 20,000円~ | 30,000円~ | 50,000円~ | 70,000円~ | 90,000円~ |
カレンダー A3 6枚 | 120,000円~ | 150,000円~ | 200,000円~ | 300,000円~ | 600,000円~ |
パッケージ A5以内 | 20,000円~ | 30,000円~ | 40,000円~ | 60,000円~ | 80,000円~ |
Web トップページのメインビジュアル | 30,000円~ | 40,000円~ | 50,000円~ | 70,000円~ | 100,000円~ |
企業のマスコットキャラクター | 100,000円 | 150,000円~ | 200,000円~ | 300,000円~ | 500,000円~ |
どのイラストもあくまでイラスト依頼の費用を平均したもので、参考となる価格です。
どうしても依頼したいデザイナーがいる場合や、コストを抑えたい場合には費用を相談することも大事です。
デザイナーによっては相談次第で価格は下げてくれなくても、修正回数やオプションを融通してくれる可能性はあります。
イラストを依頼する際は相場も参考に、デザイナーと相談してみてください。
イラストはどこに依頼すればよいか
イラスト依頼をするときにはどこに依頼するのがよいでしょうか。
デザイナーにイラストを依頼をするには、大きく分けて2つの選択肢があります。
- デザイン制作会社に依頼する
- フリーランスに依頼する
それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
デザイン制作会社に依頼する
デザイン制作会社はクライアントの依頼内容に応じて、チームを組んで丁寧なイラスト制作に取り組んでくれます。
クライアントにとっては安心して仕事を任せられる選択しです。
ではデザイン制作会社に依頼する場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
デザイン制作会社のメリット
デザイン制作会社は複数人でチームを組んで制作に取り組むのが一般的で、品質も安定していることが最大のメリットです。
クライアントのニーズをヒアリングする能力も高いため、依頼内容に則した完成品が納品されるでしょう。
デザイン制作会社によっては専門性に特化した会社もあり、オリジナルキャラクター、工業、医療、ゲームなど専門性も豊富です。
コストに見合ったイラストを求めるならデザイン制作会社に依頼するのがおすすめです。
デザイン制作会社のデメリット
デザイン制作会社にはデメリットも存在します。
まず費用が高めである点です。
デザイン制作会社では多くのプロフェッショナルが案件に関わり、専門性の高い技術も保有しています。
そのため費用は価格相場よりも高めになる可能性が高いのです。
会社によって価格設定は様々であるため、具体的な価格を説明するのは難しいですが、シンプルなカットイラストでも5,000円以上の費用が必要となります。
次のデメリットは納品に時間が掛かる点です。
チームとして多くの人間が関わるため、品質の安定性は保証される反面、機動力には難点があります。
フリーランスに依頼する場合に比べると、コミュニケーションに時間もかかりやすく、納品までにかかる時間も多くなりがちなデメリットは理解しましょう。
フリーランスに依頼する
フリーランスは個人で活動するデザイナーのことを指します。
最近ではクラウドソーシングやSNSを通して依頼を行うことができ、手軽に依頼しやすくなっています。
特にクラウドソーシングでは多くのデザイナーが登録しているため、依頼内容に合うデザイナーを探しやすい点が特徴です。
フリーランスに依頼するメリット・デメリットについて見ていきましょう。
フリーランスのメリット
フリーランスに依頼するメリットはどのようなものか、デザイン会社との違いから見ていきます。
デザイン会社とフリーランスの最大の違いは、人数の差です。
会社では複数の人間がチームで案件に取り組みますが、フリーランスでは個人で最初から完成まで貫徹します。
個人で仕事を行うフリーランスは会社よりも機動力が高く、仕事の完成までが早いというメリットがあります。
また、フリーランスに依頼するとデザイン会社よりも費用が安いメリットも魅力です。
デザイナーにもプロとアマチュアがあり、人気のデザイナーなら費用も高くなりますが、一方でアマチュアでは実績を重ねる意味もあって、費用を安くしていることもあるのです。
ポートフォリオをチェックしてデザイナーを選択してください。
そしてフリーランスにはクラウドソーシングやSNSなど、幅広い募集方法がある点もメリットです。
クラウドソーシングでは案件に提案してくれる人材を募集し、その中から最適なデザイナーを選ぶだけでよく、自らデザイナーを探すよりも効率的です。
SNSも今では多くのフリーランスが活躍、情報発信をする場でもあるので、SNSから探す方法も良いでしょう。
フリーランスは早く、安く、バラエティ豊富なデザイナーを求めるならおすすめの選択肢です。
フリーランスのデメリット
一方でフリーランスのデメリットについても見ていきます。
フリーランスに依頼するうえで最大のデメリットは、クオリティの保証がないことです。
フリーランスはプロもいればアマチュアもいるため、安定したクオリティのイラストを求めるなら不安が残ります。
またスケジュール管理はクライアント側で行わなければならない点もデメリットです。
デザイン会社に依頼する場合は、スケジュール管理も一括でお任せできますが、フリーランスへの依頼はクライアントがマイルストーンの設定も行うのが一般的です。
品質の安定感、納品までのスケジュール管理が難しい場合には、フリーランスへの依頼はあまり向いていません。
まとめ
デザイナーにイラスト依頼する際の費用について紹介しました。
イラスト依頼には明確な金額の基準はないものの、日本イラストレーター協会が提供している料金表を参考にすることがおすすめです。
イラスト依頼の平均的な価格をまとめているため、大きく相場から外れる心配はありません。
そして依頼する際は、デザイン制作会社かフリーランスのどちらかを選択することになるはずです。
品質や専門性、納品までのスケジュール管理といったメリットを求めるならデザイン制作会社が良いでしょう。
一方で、納品までの早さ、価格、バラエティの豊富さを求めるならフリーランスがおすすめです。
デザイナーにイラストを依頼する際は、予算や見積もりを相談しながら、最適な方法を選択するようにしてください。