始めてデザインを依頼するとき、どのような依頼をすれば良いのかわからないことも珍しくありません。
社内にデザイナーがおらず、外注でデザインを依頼する企業も多いでしょう。
外注で依頼にするにしても、このような悩みを抱える担当者もいます。
- デザインを依頼するのはいいけれど、どこまで対応してくれるのだろう
- 依頼するにしても何を準備すればいいのかわからない
このような悩みを抱える方向けに、この記事ではデザイナーへの依頼の仕方の基本、依頼するときの注意点、そしてやってはいけない依頼の仕方を解説します。
この記事を読めばデザイナーに依頼する際に何を準備するのか、イメージしたデザインを正しく伝える方法がわかります。
どのようにデザイナーに依頼すればいいのかわからない方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
デザイナーに依頼する際に決めておくこと
デザイナーに依頼する際に事前に決めておくことが4つあります。
依頼するにあたってデザイナーに伝えるべき重要なポイントでもあるので、確認してから依頼してください。
- デザインの目的、何を伝えたいのか
- デザインのイメージをできる限り具体的にする
- 予算の設定や料金の確認
- 納期はいつまでにするのか
上記の4つは依頼する際に必ず必要なポイントとなるので、依頼前に部署内でしっかりと決定しておくのがおすすめです。
デザインの目的、何を伝えたいのか
デザイナーに依頼すれば、「おまかせで大丈夫」と考える方もいるでしょう。
しかしデザイナー側にとっては「おまかせ」は困ります。
制作物をどんな目的で使用するのか、デザインによって誰に、何を訴えたいのかわからなければ制作しようがないのです。
デザイナーは依頼されたら自由に制作するのではなく、「依頼者が求めるデザインを提供しよう」と考えて仕事に取り組みます。
依頼者に最適なデザインを提供するには、用途、目的、ターゲット、意図を知る必要があります。
情報を総合して判断して、必要な要素をデザインに盛り込んでいくのです。
こうした情報を知らずに「おまかせ」で制作すると、依頼者にとってもデザイナーにとっても納得の行く仕事はできません。
事前にどこで使用するのか、どういう目的でデザインを依頼したのか、見た人にどんなメッセージを伝えたいのかなどの情報を決めておくことがポイントです。
デザインのイメージをできる限り具体的にする
デザインのイメージを具体的にすることも大事なポイントです。
目的や伝えたいことにも繋がりますが、「見た人に何を伝えたいのか」を明確にするには、イメージを確固たるものにしておくことが重要だからです。
- 多くの人に楽しく見てもらいたい
- 明るく開かれたイメージを持ってほしい
- クールで洗練されたイメージを与えたい
色々なイメージがあるはずですから、そのイメージを具体的に設定しておきましょう。
ですが、もしはっきりとしたイメージが定まらなくても心配はいりません。
その場合には、デザインの参考となる資料を準備することで、デザイナーに「こんな風なデザインにしたい」と伝えれば良いのです。
資料は雑誌、写真、画像、イラストなどイメージが伝わりやすければ問題ありません。
デザイナーが「依頼者はこういうデザインを求めている」と把握できれば、後はデザイナー側がヒアリングやコミュニケーションを通じて、依頼者のニーズを引き出します。
ポイントは「イメージを出来るだけ具体的にすること」、そしてイメージが伝わる資料を準備しておくことだと知っておくことです。
予算の設定や料金の確認
デザインを依頼する際、企業であれ個人であれ決められた予算があります。
デザインがプロジェクトの一環なのであれば、プロジェクト全体からどの程度の予算を確保できるのか把握しましょう。
一例ですが、Webサイトをデザインする場合、以下のような相場があります。
- 小規模な企業サイト:50万円前後
- 中規模な企業サイト:100万円前後
- 大規模な企業サイト:150万円以上
小規模サイトなら10ページ程度、中規模サイトは30ページ程度、大規模ページなら80ページ程度とされています。
小規模であっても50万円程度は必要となり、予算の設定でどこまでデザインできるか想定しておくことが大事です。
実際に依頼をする際には、「予算はこのくらいなのですが、どこまで対応できますか」という風にデザイナーにも相談してみるのがおすすめです。
デザイナーにも様々な依頼先があり、フリーランス、デザイン制作会社、広告代理店などがあり、それぞれに料金設定も異なります。
安くするならフリーランスがおすすめですが、大きなプロジェクトなら制作会社や代理店がおすすめです。
依頼者の予算設定を基に、どこにどのようなデザインを依頼するのか決定してください。
納期はいつまでにするのか
デザイナーに仕事を依頼するには、「納期をいつにするか」も大事なポイントです。
デザインのことを全く知らない人からすれば、「1週間くらいで出来るだろう」と思うことでしょう。
実際には「最低でも2週間は必要」であり、余裕をもったスケジュールで依頼する必要があります。
もし納期を短くしすぎると次の問題が起こりやすくなります。
- 中途半端なクオリティの完成品ができる
- 依頼者のイメージしたデザインとは異なったものができる
- 依頼が特急料金として高くなる
そもそもなぜ2週間以上のスケジュールが必要なのか、疑問に思う方もいることでしょう。
デザイナーは依頼を受けてすぐに制作に入るわけではなく、まず「調査」の時間が入るのです。
依頼者から資料の提供を受けていても、制作に入ると不足している情報がどうしても出てきます。
デザイナーは不足した情報を収集するため、調査を綿密に行ったうえで制作に入っています。
また、制作したデザインを依頼者に提出しても、1回で完璧なものになることは稀です。
何度も依頼者と連絡を取り合い、大きなものも小さなものも修正を繰り返してようやく完成するのです。
デザインを制作するにはいくつも工程を必要とするため、2週間以上の余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。
依頼するときの注意点
依頼するにあたって注意すべき点について見ていきます。
次の注意点を意識すると、スムーズに依頼が進みやすくなるので確認していきましょう。
- 目的に応じたデータの納品形式を選択する
- 適切なカラーモードで依頼する
- 用途に合わせたサイズと解像度で依頼する
- ラフ案、修正回数を確認する
目的に応じたデータの納品形式を選択する
デザインは用途や目的に応じて、適切な形式があります。
一般的には次の方法で納品することが多いです。
- PDFファイル
- 画像ファイル(JPG・PNG・GIF等)
- Aiファイル(イラストレーター)
- PSDファイル(フォトショップ)
印刷物にはAiファイルやPSDファイルが多く、Webサイトに使うものはJPGやPNGが使われます。
目的や用途によって最適な納品形式があり、デザイナーに伝えることで最適な形式での納品をしてくれます。
ただし、その中でも注意したいのはデザイナーによっては、元データを渡してくれないケースもあることです。
Webサイトで使用するものは、その性質上データも渡してくれることが多いのですが、印刷物に利用する場合は制作データはもらえないこともあります。
そのため契約の段階でどのような納品形式になっているのか、データ受け渡しはしてもらえるのかなど、細かい内容にも注意してください。
適切なカラーモードで依頼する
カラーモードとは制作物の色合いのことで、制作物に応じて最適なカラーモードで依頼する必要があります。
WebサイトはRGB(赤・緑・青)の光の三原色で色合いを表現しており、デジタルに関するものはRGBでカラーを選択します。
Webサイトはもちろん、モニター、出力される映像もRGBカラーで表現されるため、Webでの利用を前提とするならRGBカラーで適切な選択をしましょう。
一方、印刷物ではCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)が最適なカラーモードになります。
家庭のプリンターでもこの4色で印刷されるため、イメージしやすいかと思います。
デザイナーに依頼する際は、Webだけで利用するのか、印刷物としても利用するのかを伝えて制作してもらうことが大事です。
依頼する際にはWeb利用か、印刷物か、もしくはその両方なのかを明確に伝えることで、デザイナー側にも混乱が生じにくくなるので注意してください。
用途に合わせたサイズと解像度で依頼する
用途に合わせたサイズと解像度で依頼することも注意すべきポイントです。
画像サイズは画像そのものの大きさ、ディスプレイでの表示領域のサイズのことです。
そして解像度は画像を表現するドットの密度であり、画像の精細さを表しています。
印刷で使用する際に画像の引き延ばしや縮小を行うと、解像度やサイズによっては画像のぼやけ、細かな部分が表示されなくなります。
用途に応じて画像サイズと解像度を指定して、画像が荒くならないように注意してください。
ラフ案、修正回数を確認する
ラフ案の作成、修正回数の確認も依頼の際には注意が必要です。
デザインを作成するには、制作に入る前にラフ案を作成し、依頼者とデザイナーの間でイメージのズレが生じないようにすり合わせを行います。
ラフ案ではデザイナーによって料金が発生することもあるので、事前にラフ案を作成するなら、料金が発生するのか確認しておきましょう。
そして作品完成までに修正回数が何回対応してもらえるのか、という確認も注意点です。
修正は料金に含まれていることも多いですが、通常は回数に制限が設けられています。
修正可能な回数と超過した場合の料金なども事前に確認し、制作過程でのトラブルが発生しないように注意してください。
依頼するときにやってはいけないこと
次にデザイナーに依頼するとき、やってはいけない依頼の仕方を見ていきます。
依頼の仕方によってはデザイナーを困惑させ、満足できる完成品にならないことがあります。
次のような依頼の仕方が悪い例なので、注意してください。
- デザインを複数作成してもらって、気に入ったものを選びたい
- デザイナーにおまかせするので適当に作ってほしい
- 具体的な文章、イメージが出来ていない状態で依頼する
- 依頼と納期までの期間が短すぎる
- 修正依頼に明確な理由がなく、修正料金を値切ろうとする
デザインを複数作成してもらって、気に入ったものを選びたい
依頼する際にやってはいけない方法に、デザインを複数作成し、その中から1つを選ぶというものがあります。
デザインは1つ作成するだけでも2週間程度を必要とするため、複数作成はかなりの時間を必要とします。
さらにその中からどれか1つだけ選ぶ依頼の仕方は、デザイナーには非常に嫌がられるのです。
デザイン自体は近しいものであっても、いくつも作れば時間は掛かります。
デザイナーがせっかく複数作成しても、不要とされるデザインの方が多いこのような依頼の仕方は避けるように注意してください。
デザイナーにおまかせするので適当に作ってほしい
デザインの目的やイメージも明確に伝えず、デザイナーにおまかせする依頼の仕方もやってはいけません。
依頼者が想像するデザインイメージと、デザイナーが考えるイメージでは、全く同じということはほとんどありません。
おまかせではデザイナーからしても、どのようなデザインが良いのか調査にも時間が掛かり、好ましい依頼ではないのです。
そのためデザイナーの感性に任せた依頼の仕方では、出来上がったデザインを再修正する必要も出てきます。
結果的に余計な時間と修正料金も発生するため、デザイナーだけに任せる依頼の仕方は避けましょう。
具体的な文章、イメージが出来ていない状態で依頼する
デザインは元となるイメージ、デザインで強調する文章によって作成していくものです。
デザインはWebサイトであればサイトのコンテンツを整えることであり、印刷物であれば見た人にわかりやすいものである必要があります。
つまり、どのような利用方法であっても、元となる文章やイメージがなければ満足のできるデザインは出来ないのです。
先にデザインだけ作成しても、完成形になる段階でコンテンツとデザインが一致しないことになる可能性があります。
そのようなトラブルを回避するためにもデザイナーに依頼する際は、デザイン以外のコンテンツが具体的に決定してから依頼してください。
依頼と納期までの期間が短すぎる
依頼から納期までの期間が短すぎる依頼の仕方もやってはいけません。
本記事で解説してきた通り、デザイン作成は調査、ラフ案、制作など多くの工程があり、最低でも2週間の期間が必要です。
期間を「3日以内」「1週間で」などの短すぎる納期は、不完全なデザインが完成してしまうリスクに繋がります。
納期は出来るだけ余裕を持たせ、デザイナーともどのくらいの期間が必要か相談して納期を決定してください。
修正依頼に明確な理由がなく、修正料金を値切ろうとする
作成に入ってから修正依頼の明確な理由のない戻しもデザイナーに嫌がられます。
また依頼で修正料金を値切ろうとする行為もNGです。
まず明確な理由のない戻しは、デザイナーからしても「どこを直せばよいのかわからない」ため、非常に嫌がられるのです。
この場合、デザイナー側のヒアリング不足という可能性も考えられますが、依頼者側も明確なコンセプトを定めていないことも考えられます。
依頼する際には要件を明確に定めたうえで、デザイナーに伝える情報に不足が無いように注意してください。
そして料金の値切りは修正も含めて、どのような仕事でもNGです。
デザイナーもプロとして仕事に取り組んでいる以上、仕事へのプライドを持っています。
値切りはデザイナーのプライドを傷つけ、制作へのモチベーションを低下させる原因となります。
料金関係の値切りはしないようにしてください。
まとめ
デザイナーへの依頼をしたことがない方向けに、デザイナーに依頼する際の基本的なポイントを解説しました。
デザインを依頼するにはデザイナーに一任するのではなく、依頼者側も事前に知識を取り込んでおく必要があります。
つまり、依頼する側にもデザインに関する基礎的な理解は求められるのです。
用途、目的、イメージ、伝えたいことなどデザインで何を訴えようとしているのか、デザイナーとのコミュニケーションを密にとって、細かな部分まで決定してください。
依頼者もデザイナーも満足できる、そのようなデザインに仕上がるようにお互いに協力することが負荷可決です。
本記事を参考にして、デザイナーに依頼する際は細かい部分までしっかりと設定したうえで、依頼をするようにしましょう。