イラストレーターは広告やパッケージ、ポスター、Webなどでイラストを描く職業です。
イラストレーターには会社で務める道、フリーランスとして独立する道と自由な選択ができる職業でもあります。
ではイラストレーターになるにはどのような方法があるのでしょうか?
イラストレーターは得意分野、専門分野を持って取り組んでいる人がほとんどで、必ずしもなり方は一つではありません。
大前提として絵を描くことが好きであることは必要ですが、自分の個性を出すことがイラストレーターになるうえでは重要でもあります。
この記事ではイラストレーターになるために選択すべき進路、向いている人、必要な物について解説します。
イラストレーターの働き方
まずはイラストレーターはどのような働き方をしているのか見ていきます。
イラストレーターの働き方には大きく2つがあるので、それぞれ解説します。
- 制作会社等で働く
- フリーランスとして働く
制作会社等で働く
イラストレーターは色々な分野で活躍することが可能です。
- 広告会社・代理店
- デザイン会社
- アニメ制作会社
- ゲーム制作会社
- 出版社
市場に広告を発信する会社であれば、今やどこでもイラストレーターの活躍できる場所となっています。
会社に勤めて働くイラストレーターの最大のメリットは、安定した収入源を確保できることです。
会社であれば日々多くの広告やロゴの制作依頼が入り、仕事に困ることがありません。
安定した収入源となるだけでなく、会社によっては業績次第で大きな収入アップ、ボーナスも期待できます。
また、会社が制作したイラストが社会的に評価されれば、自分自身のイラストレーターとしての評価にも繋がります。
なにより企業であれば自分のスキルを磨きながら、色々な仕事を経験できるためキャリアアップの面でもメリットが多いのが企業に勤めるイラストレーターです。
フリーランスとして働く
イラストレーターは企業に勤める以外にも、フリーランスという働き方も選びやすいです。
フリーランスは会社勤めとは違い、自分から営業や持ち込み、SNS等を介して情報を発信して仕事を得る必要があります。
ですがフリーランスには勤務時間の制限はなく、自由度の高いライフスタイルを構築しやすい点がメリットです。
また企業に勤める場合とは違い、働いて得た収入がそのまま給料となる点もメリットです。
一定の知名度、人気、固定ファンを獲得するまでは大変ですが、人気が高まれば年収1,000万円を超えることもあります。
そのためにより多くの知識、スキルを身に付ける努力も必要ですが、活躍の幅を広げることで安定したフリーランスとしての生活ができるようになるでしょう。
イラストレーターに向いている人
イラストレーターに向いている人とはどのような人でしょうか。
イラストレーターに適性が高いのは次のような人です。
- 絵を描くことが好きな人
- 向上心と好奇心の強い人
- コミュニケーション能力高く、求められた絵を描ける人
- 忍耐力の高い人
- 絵にオリジナリティが出せる人
絵を描くことが好きな人
イラストレーターをする以上、大前提として絵を描くことが好きな人であることは必須です。
重要なのは、「絵を描くことが好き」であることです。
絵の上手い下手ではなく、描くことそのものが好きなら誰でもイラストレーターの適性があると言えます。
イラストレーターは得意なジャンルの絵だけを描くとは限らず、経験のないジャンルの絵を描くこともあります。
未知の分野であっても描き続けていくには、絵を描くことが好きであることが大事です。
向上心と好奇心の強い人
仕事として続けるためには、「今よりも良いものを描きたい」「これを描くのはどうだろう」と向上心と好奇心を持っている必要があります。
絵の上手い下手の程度はあるとしても、「上手く絵を描けるようになりたい」という向上心は大事です。
向上心があれば最初は苦手だったものも、いずれ克服できるからです。
またイラストレーターはその性質上、色々なものを描く必要があり、発想力も必要になることがあります。
好奇心が強ければ、自分の感性を養うことにも繋がり、より絵のバリエーションも増えるでしょう。
向上心と好奇心は描き続けていくうえで、モチベーションを高める要素となります。
コミュニケーション能力が高く、求められた絵を描ける人
イラストレーターは絵を描くことが仕事ですが、コミュニケーション能力も求められる職業でもあります。
会社勤務のイラストレーターであれば一人で仕事をするわけではなく、ディレクター、他のクリエイター、デザイナーなど多職種とチームで動くことになります。
フリーランスの場合でも、仕事の持ち込みや営業、クライアントから信頼を得るためにはコミュニケーションは欠かせません。
またイラストレーターはクライアントに求められた絵を描く必要があるため、ニーズを聴取する過程が必要です。
クライアントの求めるイメージを具体化するには、コミュニケーションを密にしなければなりません。
コミュニケーション能力とクライアントのニーズを把握して絵を描ける人には、イラストレーターとしての適性が高いと言えます。
忍耐力の高い人
イラストを描いているとクライアントによっては厳しい納期、無茶な修正依頼などをされることもあります。
クライアントの要求にも手を抜かず、プロとして求められたものを作成するには忍耐力も必要です。
どんな仕事にも共通することですが、忍耐力の高さはプロのイラストレーターとして続けるうえで必要な能力です。
絵にオリジナリティが出せる人
イラストレーターにとってのやりがいは、「自分の絵を求めてもらえること」です。
個性を出すことで「自分だけのイラスト」になり、他の人には描けない絵になります。
最初は誰かの絵を真似るのも良いですが、それだけでは「誰にでも描ける絵」になってしまいます。
自分のオリジナリティを出すことで、自分の絵のファンができるようになるとイラストレーターとしても活躍しやすくなるでしょう。
選択すべき進路
イラストレーターになりたいと思っている方は、どのような進路を選択すべきなのでしょうか。
イラストレーターのなり方はいくつかあるので、紹介していきます。
- 専門学校・大学で学ぶ
- デザイン制作会社・広告代理店に勤める
- 独学で学ぶ
専門学校・大学で学ぶ
イラストレーターには特別な資格は不要ですが、基本的な描くスキルや知識、仕事として生計を立てるための実力は身に付ける必要があります。
そのため絶対ではありませんが、専門学校や大学で基礎を学んでプロになる人も多いのです。
専門学校とはアニメ、マンガ、デザインなどの専門学校のことで、プロのイラストレーターを養成するコースも設けられているところもあります。
大学は美術大学などでイラストやデッサンの基礎を磨くこともでき、基礎的な画力のアップが期待でき、多くのイラストレーターが通る道です。
専門学校では講師としてプロのイラストレーターの講義に、実際に企業との共同プロジェクトを計画・実行することもあります。
学生の頃からプロのイラストレーターと仕事を行い、現場を知ることができるメリットがあります。
専門学校ではイラストレーターで使用するツールの扱い方など、仕事をするために必須なPC操作も学べるでしょう。
イラストレーターの養成に力を入れている専門学校も増加傾向なので、しっかり基礎を身に付けたいと考えるなら専門学校や大学への進学がおすすめです。
デザイン制作会社・広告代理店に勤める
デザイン制作会社・広告代理店に勤める方法も、イラストレーターになる一般的な方法の1つです。
絵を描くための基礎がない状態から入るのは難しいこともありますが、会社に勤めていれば毎日多くのイラストを描くことになります。
仕事として絵を描くことができ、給料ももらえるため、絵を描くことが好きな人にとっては好条件と言えます。
仕事として絵を描くためには、会社にあるPCやツールを使用するため、将来の独立に向けて何が必要か把握することもできるでしょう。
最近のイラストレーターはアナログだけで生計を立てることは難しく、PCでイラストを描けなければ成功するのは難しいのが現実です。
会社で用意されているPCやソフトを使えば、自腹は0で勉強もできると思いましょう。
イラストレーターは絵を描くだけでなく、動画投稿サイトで活躍するVTuberを作成することもあります。
VTuberはキャラクターを生きているように動かす必要があり、特別なソフトの扱いも学ばなければなりません。
その点、会社で絵を描いているとグラフィックデザインなどを学ぶ機会もあるため、イラストの実力だけでなく、各種グラフィックのスキルも身に付けられます。
働きながらイラストについて学ぶという方法もおすすめな進路です。
独学で学ぶ
学校、会社で学ぶ以外の方法として、独学でイラストについて学ぶ選択肢もあります。
これからイラストレーターを目指す人の中には、現在別の仕事をしている人や、学校で別のことを学んでいる人も多いかと思います。
そんな人は仕事や勉強の合間、イラストについて学ぶ道もあると知っておいてください。
書籍でもイラストについて基礎から応用、PCスキルも詳細に書かれたものが出版されています。
他にもインターネット上に色々な情報があり、個人で動画を配信する人、オンラインスクールで学ぶ方法も増えています。
イラストレーターに特別な資格は不要であるため、学ぼうとする意欲さえあればすぐに始められる状況なのです。
ただし、独学で始めるなら以下の点はやっておくべきでしょう。
- イラストを描くための環境を作る
- 根気強く描き続ける
- イラストを見せて、人の意見を素直に聴く
- コンセプトを設定してイラストを描く
- 実力と実績を積み上げる
イラストを描くための環境を作る
まず独学でイラストレーターを始めるために重要なのが、描くための環境を自ら作ることです。
環境とはツールを揃えるだけではなく、仕事時間とプライベート、そしてイラストの勉強する時間を調整することも含みます。
仕事時間が長く、家に帰ってもイラストの勉強ができる日と、できない日がある場合、上達にはかなりの遠回りを強いられます。
絵を描くための時間を取れない環境にあるなら、時間調整のしやすい職場に変更するか、転職することも必要です。
イラストレーターは実力がなければ仕事はもらえないため、日頃から描く技術を磨かなければならないのです。
根気強く描き続ける
多くのイラストレーターは「毎日〇時間以上」と決めて、勉強やイラストを描く練習を続けています。
アスリートと同じで毎日描くことで少しずつでも実力を高め、悪い部分を修正していくのです。
勉強、スポーツと同じで、毎日継続することがイラストレーターになるための近道です。
毎日続ける中で徐々に描くためのコツを掴み、苦手部分も克服できるでしょう。
プロのイラストレーターを目指すなら、根気強く続けることも必須な条件なのです。
イラストを見せて、人の意見を素直に聴く
学校や会社で勤めていると周囲にはライバル、同僚、上司など多くの人がいます。
自分のイラストに何が足りないか、人から学べる部分もあります。
独学の場合は、誰にも知られないように秘密にしていることも多く、自分の感覚だけが作品の良し悪しの判断基準になりやすいのです。
だからこそ、出来た作品について人の意見を尋ねることも大事になります。
意見を尋ねる相手は、友達、オンラインスクールの講師、SNSなど誰でも構いません。
自分の描いたものを「人から見てどうなのか」、素直に意見を受け入れられれば上達は早くなるでしょう。
コンセプトを設定してイラストを描く
イラストを描く際に、「なんとなく」で描いていく人は少ないかと思います。
何を描くのかテーマ、世界観、キャラクター、背景などのコンセプトを設定したほうが描きやすく、イラストに反映しやすいはずです。
クライアントから仕事が依頼される際も、必ずテーマの設定はされるので、それにふさわしいイラストを描く必要があります。
自分の練習として描く場合や作品として描く場合でも、コンセプト設定はとても大事です。
作品をポートフォリオとして発表するなら尚更で、作品を見た人にイラストをより効果的にアピールできます。
人によって得意なジャンルやカテゴリーはあるかと思いますが、色々なコンセプトを設定して描いていきましょう。
そうすれば描けるイラストの幅が広がり、仕事にも繋がりやすくなります。
実力と実績を積み上げる
無名の時代から、いきなり大きな仕事を依頼されることはまずありません。
実力と実績を積み上げることで、クライアントからも自然と仕事が舞い込んでくるようになります。
実力と実績を作るなら、クラウドソーシングでの仕事の受注、SNSでの作品のアップなどで人の眼に留まり続ける努力も必要です。
実績として積み上げていけば、ポートフォリオとしてクライアントにも提示しやすくなります。
今やSNSでは人気イラストレーターは数万人のフォロワーもいるので、SNSに作品をアップするとファンを作りやすい部分はあるでしょう。
イラストレーターに必要な物
イラストレーターとして本格的に活動するために必要な物を見ていきましょう。
準備しておきたいのは次のものです。
- パソコン
- ペンタブレット(液晶タブレット)
- タブレット端末
- イラスト制作用ソフト
- ミリペン
パソコン
イラストレーターはデジタルでイラストを描く依頼も多く、イラストを制作、保存するためのパソコンは必須です。
パソコンは画面ができる限り大きいデスクトップか、ノートパソコンでもモニターを複数繋げる方法がおすすめです。
スペックに関しては、制作作業では動作が常にスムーズであるためには、予算の許す限り高性能なパソコンを選びましょう。
複数のソフトを組み合わせたり、レイヤーを重ねるため、十分なメモリやCPUを確保してください。
イラストレーターにとって最も重要なツールになるので、他を削ってもパソコンの性能は余裕のあるものを選ぶことが大事です。
ペンタブレット(液晶タブレット)
イラストレーターでマウスを使用して絵を描いていく人は少数派でしょう。
ペンタブレットというペン型の入力機器を使用すれば、アナログの筆を持っている時と近い感覚で作業できます。
ペンタブレットで描いたイラストは、画面上に直接表示されるため、実際に紙で描いている時と近い感覚で利用できます。
プロのイラストレーターも性能の差こそあれ、ペンタブレットを利用する人が多いほどです。
最初のうちは安いものでも作業ができれば問題ありません。
イラストレーターとして活躍し、一定の収入が見込めるようになったら高性能のペンタブレットを使用してみましょう。
タブレット端末
必須ではありませんが、持ち運べるパソコンとしてタブレット端末を持つこともおすすめです。
最近のタブレット端末はパソコンとほぼ変わらない性能でありながら、持ち運びも可能になっています。
自宅や事務所ではデスクトップを利用し、外出先ではタブレット端末を利用することもでき、クライアントにその場で画面を見せることもできるでしょう。
タブレット端末を持っていれば、外出先でアイディアを閃いた時にもすぐ描きこみ、保存もできて便利です。
またタブレット端末で保存した画像を共有し、仕上げなどの最終調整はパソコンで行うことも可能です。
必須ではないものの、持っていると便利なのでタブレット端末も準備しておくと良いでしょう。
イラスト制作用ソフト
イラスト制作用ソフトにはプロも使うものとして、「Photoshop」と「Illustrator」があります。
Photoshopは写真加工のソフトで、広告等で使うことが多いソフトです。
Illustratorは画像編集のソフトで、ロゴ作成などで使うソフトです。
どちらも愛用するイラストレーターが多いソフトですので、使いこなせるようになると仕事の幅が広がります。
またデジタルでの作業をより精密に行いたいなら「CLIP STUDIO」や「SAI」というソフトもおすすめです。
アナログの筆遣いに近くなるよう細かく設定もできることから、イラストを描く時には便利なソフトです。
ミリペン
デジタルで仕事をする人でも、部分的にアナログな方法を取り入れていることがあります。
その場合、線画をアナログでする人におすすめなのがミリペンです。
筆圧による線の太さの違いも出しやすく、持っていると便利なツールです。
まとめ
イラストレーターには学歴や資格は不要ですが、専門学校や会社勤務ではスキルや知識を見つけやすいメリットがあります。
一方で独学でもイラストレーターになることは可能なので、本人の地道な努力こそが重要であることがわかります。
イラストレーターには向き、不向きはありますが、イラストを描くことが好きなことが一番大事なポイントです。
「イラストが好きで仕事にしたい」「自分の世界をイラストにして発表したい」と考えている人なら、イラストレーターに向いています。
パソコンの知識、道具を揃える必要はありますが、絵に携わりたい人はイラストレーターを目指してみましょう。
この記事で紹介した内容を参考に、ぜひ自分の夢を叶えてみてください。