イラストレーターは企業の広告、ポスター、商品パッケージ、Webサイトのイラストデザインなどアナログ、デジタル様々な方法で印象的なイラストを提供するお仕事です。
工業製品のマニュアルや説明図などを描くイラストレーターは「テクニカルイラストレーター」、医療に関わる絵や図解を描くイラストレーターは「メディカルイラストレーター」とも呼ばれます。
イラストレーターは単に絵を描くだけでなく、多くの人にとってわかりやすいように情報を補完する大事な役割を担っています。
そんなイラストレーターですが、どのように仕事を進めているのでしょうか。
イラストレーターの働き方には大きく2つがあり、会社に勤めるイラストレーターとフリーランスで働くイラストレーターの選択肢があります。
この記事ではそれぞれどのような違いがあるのか、年収はどのくらいなのか、必要なスキルは何かを解説していきます。
この記事を読めば、イラストレーターはどんなことをするのか気になる方の疑問も解けるはずです。
これからイラストレーターを目指そうと考えている方も、どのような未来があるのか想像しながら最後まで読んでいってください。
イラストレーターの仕事内容
イラストレーターはどのような仕事をしているのでしょうか。
フリーランスのイラストレーターを例に、仕事の内容と流れを見ていきます。
- 企業への持ち込みや営業
- クライアントから依頼をもらう
- クライアントとの打ち合わせで方向性を決定
- ラフ案を作成する
- イラストを完成させる
- イラストの納品
1.企業への持ち込みや営業
フリーランスで活動するイラストレーターは、まず企業への持ち込みや営業で仕事をもらう必要があります。
人によっては元々制作会社に勤めていて、その後独立して縁のある企業から案件をもらう場合もあるでしょう。
そのような企業との関係性がない場合は、まず自分の作品を制作会社等に持ち込み、仕事をもらわなければなりません。
直接その制作会社から仕事をもらえなかった場合でも、持ち込んだ作品によっては別の企業を紹介してもらえるパターンや、コンペに招待してもらえる可能性はあります。
いずれのケースでも実績を見せなければ仕事には繋がりませんので、自分の作品を必ず複数パターン準備して営業を行いましょう。
2.クライアントから依頼をもらう
営業努力の結果、クライアントから依頼をもらえればお仕事が開始されますが、二つ返事で同意してはなりません。
クライアントから依頼をもらうにあたって、注意しておきたいポイントをいくつか紹介します。
- 依頼された仕事内容のチェック
- スケジュール調整は出来ているか
- 依頼内容に見合った報酬になっているか
- 契約書の内容を細かくチェック
仕事をもらえればすぐにでも開始したい気持ちになるでしょうが、必ず上記のポイントはチェックしましょう。
まず依頼内容とはどのようなイラストを作成するのかです。
イラストレーターにもスキルや扱えるソフト、知識などは様々です。
例えば専門知識が必要な医療、工業系のイラストは間違えると大変ですので、安請け合いしてはなりません。
自分のスキルと知識に見合った仕事内容か把握してください。
スケジューリングも大事なポイントで、ほとんどの依頼には納期が設定されており、超過することはクライアントの不利益に繋がります。
自分の能力でこなせる仕事量、納期までに必ず間に合うようにスケジュール調整することも、フリーランスで働くうえでは大事な能力です。
仕事をする以上、それに見合う報酬をもらう権利があります。
仕事内容、スケジュール等を加味して、不当に低い報酬、明確でない報酬の仕事は避けた方が良いでしょう。
「まだ自分には実績がないから…」ではなく、プロとして仕事をする以上、自分が納得できる条件で仕事をすることが大事です。
最後に契約書の内容も確認が大事です。
万が一、クライアントとのトラブルが生じた場合、契約書の内容によっては自分だけが一方的に不利な立場になることもあります。
お互いが仕事として協力する以上、バランスの取れた契約内容になっているか確認してから同意することです。
クライアントとの打ち合わせで方向性を決定
最近では色々なサイトで個人の作成したイラストが掲載されるようになり、イラストレーターの仕事は広く認知されています。
フリーランスのイラストレーターは好きなイラストを描いていると考える方もいるでしょうが、仕事としてもらう以上は好きなように書くことは出来ません。
打ち合わせではクライアントとイラストの構図、コンセプト、使用できる色、レギュレーションなどを一つ一つ打ち合わせしていきます。
クライアントの会社に赴いて、詳細の打ち合わせをすることが以前は一般的でした。
近年はコロナウィルス感染の拡大、オンライン会議ツールの普及により、遠隔での打ち合わせも増えており、移動の手間は少なくなっているようです。
ラフ案を作成する
打ち合わせが終わって、いきなり作品を完成まで描き上げることはほとんどありません。
話合いで決めたとおりにイラストを作成しているか、まずはラフ案(下書き)を作成してクライアントとイメージを共有します。
ラフ案を提出してクライアントから修正または要望があれば、そのとおりにラフ案を作り直すこともあります。
作成するイラストにもよりますが、広告に関わるイラストは複数回の修正を繰り返しながらブラッシュアップしていくのが一般的です。
クライアントからOKが出れば、次はイラストを完成させる工程に入ります。
イラストを完成させる
ラフ案を基に正式なイラストを描き上げます。
クライアントから指示のあった色、雰囲気等を守りつつ、イラストを完成させましょう。
完成品にOKが出れば最後に納品となります。
イラストの納品
納品はデータ形式で送ることがほとんどです。
納品形式はクライアントによって様々で、JPEGやPNG、PDFファイルでの送付などクライアントの要望に沿った形式で納品します。
またデータは納品するデータと、原本となるデータを保存したメディアを納品することもあります。
イラストレーターの年収は幅がある
次にイラストレーターの年収を見ていきます。
イラストレーターは会社勤めのケースとフリーランスのケースで、年収にはかなりの幅があります。
まず会社勤めのイラストレーターの場合ですが、平均年収は30代で300万円程度、40代で350万円程度、50代では400万円程度が平均的なようです。
ただこの年収も制作会社や本人の知名度によって異なるため、一概に会社勤めだからと言い切るのは難しいのが実際です。
会社勤めのイラストレーターは安定した収入、ボーナスなども期待できるため、イラストレーターとしてキャリアを積み上げるなら良い選択肢と言えるでしょう。
次にフリーランスのイラストレーターですが、こちらは会社勤め以上に千差万別です。
実績の少ないイラストレーターでは年収100万円程度のこともあり、逆に知名度が高くなれば年収1000万円を超える人もいます。
実力が高ければ雑誌や広告でも採用され、知名度も上がることもあるため、非常に夢のあるのがフリーランスのイラストレーターです。
また世間的な認知度が高くなれば、企業や制作会社の方から依頼されることもあり、高単価の仕事も多くなるでしょう。
どちらの働き方を選ぶとしても、より良い作品を世間に発表し、認知度を上げていくことがイラストレーターにとっては重要なポイントとなります。
イラストレーターのメリット・デメリット
イラストレーターとして生きていくうえで、メリットとデメリットは何があるのでしょうか。
それぞれについて細かく見ていきましょう。
イラストレーターのメリット
イラストレーターを続けていくうえで、メリットとなるのは次の点です。
- 好きなことを仕事にできる
- 仕事へのやる気に繋がる
- 場所を選ばずに仕事ができる
- 高収入を狙える
好きなことを仕事にできる
イラストレーターを続けるうえで一番のメリットになるでしょう。
イラストレーターは日頃から絵を描く人、絵を描くことが好きな人が就くことの多い仕事ですから、好きなことをそのまま仕事にできるのは大きなメリットです。
イラストにはその人の特徴・個性を生かした画風を出せるので、個性を出すことも可能です。
イラストが好きな人、自分なりの個性を活かしたいと考えている人ならイラストレーターに向いています。
仕事へのやる気に繋がる
好きなことを仕事にできるため、やる気・モチベーションのアップにもなります。
また自分のイラストが広まれば、ファンがつくこともあります。
ファンの存在は自分のイラストを待ってくれている人がいる、というモチベーションにも繋がるでしょう。
場所を選ばずに仕事ができる
会社勤めの場合は出勤・退勤がありますが、フリーランスなら自分の好きな場所、時間で仕事を始められます。
自宅、事務所、カフェなど働く場所を好きに選べるため、新しい発想を得るために色々な場所に行くことも良いでしょう。
時間と場所に囚われずに仕事をしたいと考えるなら、イラストレーターという職業はおすすめです。
高収入を狙える
イラストの人気が出れば、高単価の依頼も多く入るようになり、それだけ高収入を狙えます。
特にフリーランスの場合、働いた分だけリターンが大きくなる可能性が高まるため、イラストレーターとして高収入を目指すなら選択肢の1つとなります。
ただし、それだけ人気が出るためには相応の努力と時間も必要となるため、日々の研鑽を怠ってはいけません。
イラストレーターのデメリット
続けて、イラストレーターとして働くうえでのデメリットはどのようなものでしょうか。
デメリットとなるのは次の点です。
- 収入が安定しない
- PCの知識が必要
収入が安定しない
イラストレーターを続けていくための障壁になりやすいのが、収入の問題です。
会社勤めの場合でも、イラストレーターの年収は日本人の平均とされる420万円よりも低めです。
フリーランスの場合はより顕著で、人気が高ければそれだけの収入は狙えますが、安定した収入をすぐに得るのは難しいでしょう。
フリーランスとして独立するなら、貯蓄は最低でも1年間収入が不安定でも問題ない程度ほしいところです。
PCの知識が必須
人によってはPCの扱いが苦手なこともあるでしょうが、現代のイラストレーターはPCを扱えることがほぼ必須の条件です。
昔ながらの紙媒体も扱うことはありますが、今ではほとんどがデジタルにとって代わっています。
そのため前提としてPCスキルは学んでいなければ、イラストレーターとして活躍するのは難しいです。
特にAdobe社の「Photoshop」や「Illustrator」のどちらか、もしくは両方を扱えないと活躍の幅は大きく制限されるでしょう。
イラストの技術、知識だけでなく、PCスキルを磨くこともイラストレーターには大事なポイントなのです。
イラストレーターが持っていると有利な資格
イラストレーターとしてキャリアアップ、クライアントから信頼される資格には何があるのか見ていきます。
イラストレーターはPCで仕事をすることが基本であり、一般的に「Photoshop」や「Illustrator」を扱うスキルが必要とされます。
そのことを知ったうえで有利になる資格は次のものです。
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- Illustratorクリエイター能力認定試験
- Illustrator CC 2020|Adobe Certified Professional(アドビ認定プロフェッショナル)
- CGクリエイター検定
- 色彩検定
Photoshopクリエイター能力認定試験
世界的に有名なAdobe社の画像編集ソフト「Photoshop」の操作能力についての認定試験です。
スタンダードとエキスパートの2つのレベルがあり、エキスパートの持っていれば高度な知識と技術を持っていると証明されます。
Illustratorクリエイター能力認定試験
こちらもAdobe社のイラスト作成ソフト「Illustrator」の操作能力についての認定試験です。
Photoshopクリエイター能力認定試験と同様、スタンダードとエキスパートの2つのレベルがあります。
エキスパートの認定を受ければ、クライアントからも高い信頼を持ってもらえるでしょう。
Illustrator CC 2020|Adobe Certified Professional(アドビ認定プロフェッショナル)
略して「ACP」とも呼ばれる資格で、Adobe社製品の操作スキルと知識を広く問われる資格です。
2021年5月までは「アドビ認定アソシエイト」という名称でした。
この資格は世界基準での資格となるため、認定を受ければ国内だけでなく国外でも通用します。
就職・転職にも非常に有利に働くスキルです。
CGクリエイター検定
イラストレーターとCGの関連性はわかりにくいかもしれませんが、イラストレーターとしてCGデザインに関わることもあります。
イラストだけでなく、CGの知識も持っていると仕事の幅が広がり、収入アップも望めます。
また最近は動画サイトでVTuberが流行しているため、キャラクター作成もイラストレーターが担当することが多いです。
グラフィックに関する知識があると、継続的にVTuberに関する大きな案件をもらうことも可能です。
試験にはスタンダードとエキスパートの2つのレベルがあるので、制作会社に勤めている人は狙ってみる特に価値はあるでしょう。
色彩検定
イラストに限らず、色彩や配色など色に関する知識を問う試験です。
イラストレーターだけでなく、デザイナー、アパレル関係など色と繋がりのある業種の人が取得を目指します。
イラストレーターは配色のセンスも問われる職業ですから、認定を受けると広告イラストなどの依頼を受けやすくなるでしょう。
まとめ
イラストレーターとはどのような仕事なのか解説しました。
会社勤めとフリーランスで年収に違いがあるものの、人気が出れば大きな収入も狙える夢のある職業がイラストレーターです。
現代のイラストレーターにはPCスキルは必須となっていますが、幅広く知識とスキルを持っていればクライアントから高単価の依頼ももらいやすくなります。
もちろん実力を高め、実績を重ねることで認知度と信頼を高めることも重要です。
クリエイティブな仕事が好き、自分の個性を活かしたい・表現したいと思う人にイラストレーターはおすすめです。
好きなことを仕事にしながら、大きな収入も可能なイラストレーター、絵が好きで仕事にしたい人は目指してみてください。