近年、動画配信サイトで人気が高いVTuber、人気の配信者では一度のLIVE配信で数万人が同時視聴するほどの人気コンテンツになっています。
VTuberは活躍の幅を広げており、動画配信サイトだけでなく、地上波TVやラジオ番組、ニュース番組でも採用されるほど社会的な認知度が高まっています。
VTuberの最大のメリットは「顔出しが不要」という点です。
自分の顔をネット上に公開しなくても動画の制作・配信ができ、歌やゲーム、雑学・教養など動画配信サイトでできるほとんどのコンテンツをカバーできます。
顔を出さなくてもできるなら「VTuberになりたい!」「VTuberとして動画を作りたい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
ところが実際にVTuberのなり方を調べてみると、必要な機材やキャラクター作りなど準備することが多いため、どこから始めればいいのかもわからない方もいるでしょう。
そこで、この記事ではVTuberになるには何を準備すればよいのか、一つひとつ解説していきます。
動画配信をしたことがない方にもわかりやすいように解説しますので、よろしければ最後まで読んでください。
VTuberとは?メリット・デメリットはなに?
VTuberとは「Virtual YouTuber(バーチャルユーチューバー)」の略で、元々は動画配信サイトのYouTubeで2D・3Dのイラストをアニメーションさせて動画を制作・配信する配信者のことを指します。
実際の顔を出さずに自分の好みのキャラクターを作成し、2D・3D空間で動画を撮影するため、動画配信で起こりやすい、いわゆる「顔バレ」「身バレ」といったリスクがなく、若い人を中心に人気が高まってきました。
自分の好みのキャラクターで歌やゲーム実況をできるうえ、人によっては変声ソフトで男性が女性の声に変換して女性キャラクターで配信もできるため、自由度の高さもあって広がりを見せています。
VTuberのメリット
VTuberの最大のメリットは「顔を出す必要がない」という点です。
YouTuberを始めるうえで多くの方が不安に思うのは、「顔を出すのは怖い」「顔を見られて嫌なことを言われたら…」「リアルの名前や住所を特定されそう」といったことです。
VTuberなら動画の画面上に出るのは自分の代わりを務めるキャラクターなので、こうした不安を解決できます。
またVTuberはキャラ付けしやすく他者との差別化がしやすいこと、顔を見られていると上手く話せない方でも話しやすいといったメリットもあります。
VTuberは現状でネットのメリットを最大限生かした動画配信スタイルといえるでしょう。
VTuberのデメリット
VTuberはメリットも多いですがデメリットもあります。
一般的なYouTuberとの最大の違いは「準備する機材が多い」ことであり、それに付随してVTuberは「お金」と「時間」が掛かるデメリットがあります。
VTuberは動画を配信するために、自分の代わりに人前に出る「キャラクター」がいなければ成り立ちません。
キャラクターを動かすためには必要な機材やソフトがなければ配信はできないので、機材とソフトの準備が一般的なYouTuberよりも敷居の高さを感じさせ、「VTuberは難しそう」と思わせる要因になっています。
そこでこの記事ではVTuberを始めたい、なりたいとお考えの方向けに「必要な機材・ソフト」と「金銭」といった面も踏まえて解説します。
VTuberを始めるために必要なもの
VTuberを始めるにあたって「パソコンは必要だろう」と思う方は多いでしょうが、その他に何が必要なのかわからない方も多いかと思います。
VTuberを始めるには「機材」「ソフト」そして「予算」を考えなければならず、特に予算は有限なのでVTuber活動にどれだけ投入できるかしっかりと検討することが重要です。
VTuberにとって機材とソフトは高性能なものほどより良い動画を作るために必要であり、動画のクオリティにも直結するからです。
そこで本項では準備するべき順番に沿って、必要な機材とソフトを解説していきます。
以下に最低限準備すべきものを紹介します。
- パソコン(10万円~)
- マイク(5000円程度)
- カメラ(2000円~)
- 動画編集ソフト
- アニメーションソフト
- 録画・配信ソフト
1.パソコンの準備
VTuber活動を始めるにあたり、最も重要なのがPCの準備であり、配信スタイルによってスペックも吟味しなければなりません。
PCを準備する前に最初に決めておくべきなのが、自分の配信スタイルが2Dメインか3Dメインで行くのかです。
当然のことながら2Dと3Dではキャラクターを動かす際に使用するソフトが異なり、3D配信にはより高スペックのPCが不可欠な一方、2D配信メインであれば3Dほどの高スペックPCを準備する必要がないからです。
逆に3D配信を行いつつ、2D配信もするのであれば3D配信に見合うスペックのPCを選べば問題はありません。
2D・3Dでそれぞれどのくらいのスペックを推奨しているのか確認しましょう。
2Dキャラクターで配信する場合
2Dキャラクターで動画を配信する場合、キャラクターは「Live2D」というソフトで動かすのが一般的になっています。
Live2Dの推奨スペックは以下の通りです。
- OS:Windows10(64ビット版、デスクトップモードのみ)
- CPU:Intel®Core™i7シリーズを推奨
- メモリ:8GB以上を推奨
- ストレージ:500MB以上
- GPU:NVIDIA GeForce GTX 850M相当以上
あくまでも推奨スペックであり、実際に使っていると動作が重くなり、止まってしまう恐れもあります。
余裕を持ったPCスペックを選択する必要があるので注意してください。
3Dキャラクターで配信する場合
3Dキャラクターで動画を配信する場合、キャラクターを動かすときには「Animaze by FaceRig」というソフトを使う配信者が多いです。
Animaze by FaceRigはWebカメラで捉えた人の表情をキャラクターに反映させてくれます。
Animaze by FaceRigの推奨スペックは以下の通りです。
- OS:Windows10(64ビット版、デスクトップモードのみ)
- CPU:Intel®Core™i7シリーズを推奨
- メモリ16GB以上
- ストレージ:1GB以上
- GPU:NVIDIA GeForce GTX980以上
- ブロードバンドインターネット接続
こちらも推奨スペックであり、ラグや動作停止せず快適に動かすことを目指すなら、更にハイスペックなPCを用意する必要があります。
特にCPUとGPUの性能はVTuberとして動画を配信するには高性能なほど良いので、予算の多くはPCに使うつもりで選びましょう。
VTuber配信用のPCもネットで検索すれば豊富に出てくるので、そちらから選ぶと迷うことは少ないのでチェックしてみてください。
2.マイクの準備
VTuberといえばトーク力やリアクションなどもリアルに伝える必要があるため、マイク選びも重要なポイントです。
マイク選びでポイントにしてほしいところは、「USB接続」ができるかです。
通常のジャック接続のマイクではわずかな衝撃で雑音が入りやすく、配信中の音声がクリアに認識できないなど問題点が多いため、ジャック接続のマイクは使わないようにしてください。
マイク選びでは「USBコンデンサーマイク」を優先して選びましょう。
値段の安いものでも配信はできますが、動画配信では音質も非常に重要なので5000円くらいのマイクなら音質も問題ないはずです。
また予算に余裕があれば、マイクスタンドなどの周辺機器も購入して配信環境の充実に努めてください。
3.カメラの準備
カメラとはPCのオンラインミーティングでも使用する「Webカメラ」のことです。
Webカメラを勧める理由は設定が簡単なことと、ネットや家電量販店で簡単に手に入り、安価であることが理由です。
動画配信なら「カメラも高性能が良いのでは?」とお考えの方もいるでしょうが、VTuberにおけるWebカメラは一般的なYouTuberのように精細な画質を必要としません。
VTuberのWebカメラはあくまで顔認証機能を使うためのものなので、画質にこだわる必要がないのです。
ノートPCに搭載されてカメラでもできないことはありませんが、3D配信でも使うことまで考慮するならWebカメラの購入をおすすめします。
カメラは量販店で手に入る一般的なWebカメラで十分です。
4.動画編集ソフトの準備
VTuberといえばLIVE配信をイメージする方も多いと思います。
最近はLIVE配信で視聴者とリアルタイムに交流しながら、実況・配信するスタイルが主流になっているためです。
LIVE配信なら撮影した動画をそのまま配信するため、動画編集は必要ありません。
しかし、LIVE配信に慣れているVTuberであっても、思わぬミスをしてしまうことがあります。
マイクの音声をミュートにしたままであったり、配信ソフトの操作ミスで顔バレしてしまうというリスクもあります。
そのためVTuberとして動画撮影・配信に慣れるまでは、動画配信をメインに活動するのがおすすめです。
ところが動画編集ソフトも細かいものまで含めると、数え切れないほど多様にあります。
そのため、この記事では多くの動画配信者が利用している動画編集ソフトを2つ紹介します。
1.PowerDirector365
PowerDirector365は国内販売で6年連続シェアNo.1を獲得している動画編集ソフトです。
Windows版、MacOS版両方を揃えており、世界中で愛用されているため公式マニュアルの整備はもちろん、ネットの検索でも細かい操作説明がすぐにわかります。
公式サイトでは動画で操作方法を説明しているため、初心者のうちは動画を観ながら手順を覚えられます。
動画編集の初心者から上級者まで幅広く愛用されており、機能も基本的なものから応用が必要なものまで豊富です。
LIVE配信にもそのまま利用することができるため、VTuberにもおすすめです。
利用料金は517円/月からで、12ヵ月契約では割引も適用されます。
2.Adobe PremierePro
Adobe PremiereProは「Photoshop」や「Illustrator」も提供しているAdobe社が配信している動画編集ソフトです。
有名YouTuberはもちろん、ハリウッドの映画関係者からも愛用される有名なソフトです。
Adobe PremiereProの魅力は動画編集でできることの幅広さであり、上級者からも人気があります。
一方で機能の豊富さゆえに初心者は使いこなすのが難しく、動画編集に慣れて凝った演出をしたい中級者以上の方に向いています。
特に動画編集経験が全くない方では、まず使いこなせないほど多機能なので初心者のうちはおすすめできません。
月額料金は2728円/月からとやや高いので、動画配信で一定の収益が見込めるようになってから導入するのが良いでしょう。
5.アニメーションソフトの準備
アニメーションソフトとは、VTuberを始めるために絶対に必要なキャラクターを動かしてくれるソフトのことです。
アニメーションソフトも探してみると色々な種類がありますが、この記事では誰でも簡単にアニメーションができるソフトを2つ紹介します。
1.Animaze by FaceRig
Animaze by FaceRigはWebカメラから配信者の表情や体の動きを読み取り、キャラクターと連動してくれるソフトです。
トラッキングも簡単で、有料版なら表情の動きも細かく連動させることができます。
また背景の変更や細かいパーツを画面上に表示したり、小道具のカスタマイズも可能です。
無料配布のキャラクターもあり、欲しいキャラクターは購入もでき、さらに知識があれば自作のキャラクターを制作することも可能な優れたソフトです。
ダウンロードするには「Steam」の会員登録が必要なので、気になった方はまずSteamに登録してみてください。
2.FaceVTuber
FaceVTuberはWebカメラだけで簡単に3Dモデルを動かせるソフトです。
操作方法も非常にシンプルで、以下の手順で開始できます。
- Google chromeでページを開く
- Webカメラを準備する
- 「Start」「Set」ボタンを押す
これだけで3Dキャラクターを動かすことができ、簡単さ、動作の軽さ、キャラクターの豊富さ、自由度の高さから人気があります。
キャラクターモデルはMMD・FBX・VRM形式でも読み込めるため、幅広い選択肢があります。
またユーザーの作ったMMDモデルも購入、使用許諾を得れば使用可能です。
難点としてトラッキングに少し不安があり、部屋が明るすぎても暗すぎてもトラッキングが外れてしまうので、配信時は明るさの調整に注意が必要です。
6.録画・配信ソフトの準備
ゲームの実況配信をする場合は、アニメーションだけでなくゲーム画面も表示する必要があります。
そこでゲーム画面を合成、録画、配信する無料ソフトとして「OBS(Open Broadcaster Software)Studio」が必要です。
VTuberが配信画面の右下に表示され、中央にゲーム画面が写っている配信画面は馴染みのある方も多いでしょう。
そういったキャラクターとゲーム画面の合成、録画、配信を行っているのがOBSです。
またOBSは配信画面上に映像を流すだけでなく、PCの音、マイクの音、Discordの相手の声なども流す設定もでき、動画配信では必須レベルのソフトです。
OBSで配信できる動画サイトは以下の通りです。
- YouTube
- ツイキャス
- Twitch
- ニコ生
- Mildom
- Mirrativ
配信サイトによって設定を変える必要はありますが、無料で高性能なOBSは使用している配信者も多いソフトです。
まとめ
VTuberのなり方について、必要機材も紹介しつつまとめてきました。
動画配信サイトでVTuber人気が高まる中、VTuberを始めたいと思いながらもどこから始めればよいかわからない方向けに解説しました。
VTuberを始めるにあたってPCの準備が最も重要になるので、予算とも相談しながらできるだけ高性能なPCを購入してください。
VTuberを始めて間もないうちは視聴者が増えなかったり、登録者が伸びずに悩むことも多いかと思いますが、PCやマイクなどの配信環境を変えることで好転する場合もあります。
まずはVTuberとして必要な機材を揃え、動画編集ソフトや配信ソフトの扱いに慣れ、良い動画作りを目指してください。